こんにちは。
Kickboxing Gateを読んでいただきありがとうございます。
今回は、日本で知らされていないキックボクシングのリング禍のことについて書いていこうと思います。
私は、Kickboxingの試合中に起こる事故はくり返されてはいけないと思っています。
そのためには、なぜこのような事故が起こってしまったのか、を理解しなければいけないと思いました。
メディアを通して知った事件なので、私が理解できる範囲は限られています。
ですから、私が理解した情報の中から、客観的な情報を読者の方にお伝えします。
はじめに、「リング禍」とは何かについて、説明していきます。
リング禍(りんぐか)とは、リングで行われる格闘技(ボクシング、キックボクシング、プロレス、総合格闘技など)の試合が直接的な原因で、競技者が深刻な負傷、障害を負うこと、または死に至る事故のことです。
わかりやすくて言い換えると、「リングでおこってしまった不慮の禍(わざわい)」のことです。
アマチュアキックボクサーの死
この動画はYoutubeに投稿されている実際の試合映像です。
この試合は、2014年にアメリカのウィスコンシン州のミルウォーキーで行われました。
亡くなった Dennis Munson Jr. (赤コーナー)さんは、この試合がアマチュアのキックボクシングデビュー戦だったそうです。
日本の多くのアマチュアキックボクシングの試合では、ヘッドギア、すね当て、膝当てを着用しなければいけないルールがあります。
しかし、この試合では、両選手ともに防具を着用していません。
イベントのエンターテイメント性でいえば、会場で音楽が流されたり、ライトアップがされていたり、ラウンドガールも用意されています。
日本のアマチュアキックボクシング団体の試合では、考えられない状況です。
試合は、ゴングと共に開始されます。
1Rは、赤コーナーのMunson Jr.さんがやや優位に進めますが、2Rの中盤(4:37) あたりからMunson Jr.さんの足元がおぼつかなくなります。
2R が終わる(5:57)と、Munson Jr.さんはフラフラの状態になりながらも赤コーナーへ戻っていきます。
2Rのインターバルが終わる(7:05)と、Munson Jr.さんは、足元をフラフラさせながらもファイティングポーズをみせています。
3Rは、Munson Jr.さんは攻撃をだしながらも、相手選手には、ほとんど被弾していません。
ロープに寄りかかったり(7:47)、フラフラになりながら相手選手のパンチをもらってしまいコーナーへ下がってしまっています(8:07)。相手選手のキックも防御できていません。
3Rを終える(9:06)と、Munson Jr.さんは、おぼつかない足取りでコーナーに戻り、コーナーロープへうなだれます。立っているのも必死のようにみえます。
そして、3R終了後に、 Munson Jr.さんは赤コーナーに戻りそのままマットに倒れ込みます。(9:34)。(音声と映像が切り替わっているので、倒れ込んでいく瞬間編集されているようみえます。)
Munson Jr.さんは、マットに倒れながらも自ら身体を回転させてロープの下を通ってリングから降りていきます。
レフリーは相手選手に勝ち名乗りをあげます。
Milwaukeeのニュースサイトによると、Munson Jr.さんは1時間後、Aurora Sinai Medical Center で息を引き取ったそうです。
Milwaukee Country Medical Examiner により 公表されている、Autopsy Protocol (検死書) によると、
https://www.documentcloud.org/documents/1344958-munson-autopsy.html
死因は、Blunt Force Injuries of Head(鈍器損傷)であると記載されています。
Milwaukee のニュースサイトの記事によると、この事故のあと、Munson Jr.さんの家族は、大会のプロモーター、リングドクター、レフリー、コーチに対し訴訟を起こしたそうです。
後、Munson Jr.さんの家族はドクターへの訴訟は取り下げています。
Munson Jr.さんが亡くなった事件のあと、当時Milwaukee 州知事を勤めていたGov. Scott Walkerは、総合格闘技、ボクシングを含んでいた顔面への打撃を加えるスポーツの安全性の規定にKickboxingを加えることを決めました。
考察
Munson Jr.さんが亡くなったこの大会以前は、KickboxingはMilwaukee 州の定めるボクシングと総合格闘技に対する格闘技イベントを開催するための規定に入っておらず、大会プロモーター自身がルールを定め、マッチメイクをし、大会を行なっていたそうです。
Kickboxingの試合は、打撃により相手にダメージを負わせて、勝敗を競い合います。
そのため、命を落とす危険が他のスポーツより高いといえるでしょう。
同じ打撃格闘技ではある、ボクシングの世界でいえば、大きく分けて4つの団体(IBF,WBA,WBC,WBO)が競技化をしています。
総合格闘技でいえば、UFCが一番大きな団体として、競技化を進めています。
しかし、Kickboxigを統制する機関は団体、協会や連盟などによって細かく別れているため、Kickboxingという一つの競技としての発展が滞っているという現状があるのです。
何をすることが答えなのか、考えなくていけないことはたくさんあります。
だからこそ、このような事故はリング禍の一例として終わらせてはいけないと思うのです。
Dennis Munson Jr. さんという命がキックボクシングの試合で亡くなっている。
この事実と向き合い考えなくてはいけないことは、計り知れないほど大きかったです。
参考文献