Eruption 2020 in 薩摩 開催の記録 

〜前書き〜

はじめに、【Eruption 2020 in 薩摩 】開催のためご支援してくださった皆様、ご協力してくださった皆様、プロモーションの立ち上げという貴重な機会をいただいた実行委員のさざなみさん、スポヲタ社の皆様、羅王さん、本当にありがとうございました。

大会実行委員会のメンバーとして、「鹿児島の選手たちに鹿児島でキックボクシングの試合場を」という大会開催の目標を実現させることができました。新型コロナの感染クラスターもおきることなく、無事開催できたこと心から御礼申し上げます。

今回の記事では、大会開催に関わっていったプロセスを私なりにストーリーにして、書いていきます。
大会運営に関わったものとして、いい大会だったと胸を張って言えるものでは決してありません。

しかし、一度スタートしたこの舞台をより良いものにすべく、やるべきことをやっていこうと思います。

 

〜着想〜

 

私が、薩摩3373さんから、大会開催の意向を聞いたのは、2020年1月ごろでした。

薩摩3373さんは、Eruption 2020 in 薩摩 の主催者であり、私の選手時代の同じジムの先輩でもあります。

(※キックボクシングでの同じジムという表現は、他のスポーツでいう同じチームに近いかもしれません。しかし、ジムでの先輩後輩というのは、チームという表現よりは、仲間意識が強いのかもしれません。すくなくても、私の所属ジムTARGETでは、そうでした。)

私は、2015年に選手を引退し、その後同ジムで選手育成に携わっていました。
2018年1月〜2019年5月までは、大学進学のため海外にいたので、携われませんでしたが、再度ご縁をいただき2020年1月より、同ジムで選手育成に携り始めた時でした。

彼は、私に、

「ジョー、今年は、鹿児島で大会をやりたいと思っているんだよね。」

そう言っていたような気がします。

私は、彼に

「そうなんですか、もしできることがあれば、ぜひ協力させてください。」

と言いました。

そのときは、新型コロナの感染拡大は、まだ日本には広まっていない状態でした。

2020年2月下旬。
今回大会実行委員会として運営したくださった家徳さんがキックボクシングの体験をしに、巣鴨のTARGETまで来てくださいました。

話を脱線させ、家徳さんとのことを書きます。

私が家徳さんに初めて会ったのは、2019年のことです。

家徳さんを紹介していただきNYまでお会いしに行ったとき、家徳さんは、コロンビア大学でスポーツマネジメント修士課を卒業されて、スポヲタという会社をご自身で起業されていました。

当時の私は、社会の中のキックボクシングの形を捉えるため必死でした。
私は彼に、今後のこと(当時決まっていたこと)と、キックボクシングへの想いをアツく話しました。
そして、家徳さんの勉強されていたことや今後のことをお聞きし、ご友人も快く紹介してくださいました。

家徳さんは、プロ選手たちの練習の前にキックボクシングを体験してくださったので、私はプロの選手たちに家徳さんを紹介しました。

私が、家徳さんを選手たちに紹介すると、
さざなみさんは、すかさず自身がキックボクシング大会を立ち上げたいことを家徳さんに話しました。

これが、「Eruption 2020 in 薩摩」の開催を実現させる具体的な最初のステップだったような気がします。

その後、日本にも新型コロナ感染が広がり、緊急事態宣言も出され、
世界が大きく動いていきました。未だ世界は、その最中にいます。

 

〜計画〜

 

2020年9月
さざなみさんは、家徳さんの会社が入っている都内のシェアオフィスに伺い、予定していた大会概要を具体的に話したそうです。

その後日、私も同シェアオフィスに話を伺いに行きました。

私は、キックボクシング団体のイベント開催に関するリサーチとともに、今回の大会がどのような位置に値するのかを話しました。

しかし、もうこのときには、すでに大会の開催は決まっていました。

ここで話をした内容は、大会を開催する上で、大事なことでした。

それは、今大会開催の2つの目的です。

①「鹿児島の選手たちに鹿児島でキックボクシングの試合場をつくること」
②「キックボクシングを知らない人に見てもらえるような大会にすること」

この二つの軸に沿って、大会を開催していこう!
という話しになりました。

①を実現するためには、文字通り大会を開催すること、

②を実現するためには、キックボクシング の「強い・カッコいい」という特徴とは別の面にスポットライトを照らし、ユニークな動画を作成し、キックボクシング に興味がない人にもアピールしていけるような大会にしていこう!ということになりました。

②のコンセプトを下に作成したスポヲタ社の皆様が作成した動画が、こちらです。

動画作成段階では、さざなみさんのキックボクシング への真っ直ぐで硬派なイメージではなく、その他のユニークな面に焦点をあてました。

このような選手紹介動画を、選手自身と選手と親しい人にアンケートをし、アンケートの回答からキックボクシングに向かう姿勢とは異なる面をみつけ、全選手の動画作成をし配信していく予定でした。

しかしながら、結果的に選手とのコミュニケーション不足で、選手に対して不快な想いさせてしまい、動画作成を断念いたしました。

円滑なコミュニケーションを作成側と取ること。
出場選手を大事にすること。

がいかに大切かを学びました。
ご迷惑をかけてしまった方、大変申し訳ありませんでした。

 

〜準備〜

 

大会開催に向けて、具体的な準備が行われていきました。

そして、2020年10月7日、さざなみさんのSNSにて、大会の開催を告知しました。

しかし、大会開催は発表したものの、、、
この時点では、出場選手、大会を開催するための資金が集まっておらず、この日から大会まで奔走する2ヶ月となりました。

大会を発表してから約1ヶ月後、さざなみさんとスポヲタ社の桑名さんは、鹿児島に向かい会場の視察、出場選手と支援者に直接挨拶を行いました。

その時の写真がこちらです。

同行した桑名さん曰く、さざなみさんは、かなり切羽詰まっていたらしく終始かなり焦っていたそうです。

 

助っ人

そして、ここで助っ人が実行委員会に加わってくれます。
それは、キックボクシングプロモーションRISEのヘビー級で活躍していた、リングネーム羅王丸こと、羅王さんです。

それまでは、さざなみさんと私で、大会運営に関して行なっていたのですが、負担が大きく
さざなみさんは、かなり行き詰まっていました。

それを物語るのが、試合まで計画していた日時Tweetです。

この計画は大会までのカウントダウンと、写真か動画を毎日投稿し大会の周知をしていく予定でしたが、
その写真の意図が不明確です。。。

どの写真を撮ったらいいかわからず、とっさに南口を撮影したのでしょうか?

この段階では、羅王さんにはエキシビジョンへの出場のオファーはしておらず、
大会運営にて、さざなみさんのサポートをしてもらうことをお願いしていました。

羅王さんは、包容力があり優しく、
さざなみさんと一緒に練習をしていた仲でしたし、
キックボクシング業界のことを選手目線から熟知していたので、実行委員会に加わっていただくことをお願いしました。

羅王さんに実行委員会に加わっていただいたことは、今大会の目標を達成できた大きな理由の一つです。

 

〜発表〜

 

大会開催まで時間が限られていました。

大会開催まで1ヶ月をきった11月7日に試合カードの発表を行い、その10日後にエキシビジョンの発表を公式Instagramアカウントにて行い、全カードが揃いました。

今大会は、試合順は異なるものの「全試合メインイベント」というコンセプトの下、行いました。

 

クラウドファンディング

当初の計画していた予定から遅れて、11月19日にクラウドファンディングを開始しました。

席数半減、そして新型コロナ感染拡大防止策への出費が積み重なっていたのにも関わらず、
鹿児島のキックボクシング 選手たちに試合の場を提供できたのも、ご支援していただいた皆様のおかげです。

クラウドファンディングを行うにあたっては、スポヲタ社の皆様が中心となり行いました。

目標金額200万、支援総額1200万円のクラウドファンディングを成功させた方からヒアリングから始まり、

キックボクシング団体のクラウドファンディング成功団体のリサーチ
運営会社の選定
返礼品の選定
値段と期間の設定
文章と構成の作成
イメージ画像作り

かなり早いペースで準備が進んでいました。

共感していただくことと、ご支援のお願いを直接することの2つがとても大切でした。

最終的に、133人の支援者の皆様から1308000円のご支援をいただくことができました。

ご支援していただきました皆様、重ねまして本当にありがとうございました。

 

応援ソング

また、応援ソングとして、スポヲタの家徳さんのご友人であるLIXさんに応援ソングを作成していただきました。
試合当日の選手入場式の際にも、この曲は使わせていただきました!

私が中心となり行なったこと

今大会に向けて、私が中心となり行なったことは、

  • チケットの販売
  • Instagram, Podcastの運営
  • パンフレット作成
  • 大会運営進行

です。

 

その他、大会概要ほぼ全てには関わっていますが、クラウドファンディングとスポンサーさんへのご支援のお願い、ビジネスサイドの運営は、スポヲタ社の家徳さん、桑名さんとさざなみさんが中心となって行なっていきました。

 

チケットの販売

まず初めに、キックボクシング大会のチケット購入に関しての説明をします。
従来のチケット購入方法は、2つあります。

①チケットサイトからの購入
②選手からの直接購入

①は、主催者がチケット運営会社(チケットぴあ など)に販売を委託するものです。

この場合は、チケット運営会社に興行手数料、販売手数料、チケット用紙代を支払い
チケット運営会社が販売をします。

②を説明します。
選手は、主催者からチケットを一般販売価格から何割か割引いた価格で購入します。
選手は、一般販売価格でお客様に販売するので、主催者に支払う金額とお客様からいただく金額の差額を受け取ります。

選手は、主催者からのファイトマネーをチケットで支払われていることもあるため、チケットを売ることが収益につながるのです。

しかし、問題があります。

ファイトマネー分以外の追加チケットを主催者から購入した場合は、主催者へ返金することができない場合が多いのです。

なので、選手が主催者から購入したチケットを売り切れなった場合は、追加チケット分を選手が立て替えて支払うことになります。また、ファイトマネー分のチケットを売り切れなかった場合は、売れたチケットのみがファイトマネーとなりますから、ファイトマネーチケットを全額売れなかった場合は、ファイトマネーの額が減ることと同じことです。

さらに、今大会に限っては、新型コロナ感染拡大防止策で来場者全ての住所と連絡先を把握しなければなりませんでした。

私は、このような問題を解決するために、追加チケットは主催者が全て管理し、お客様と直接やり取りをするオンラインでの販売を試みました。

実際に使用したフォームがこちらです。

購入金額の15%を応援している選手へバックする仕組みも導入しました。

始めての試みで、改善しなくてならないところが多々あったので、次回に生かします。

また、ファイトマネー分と招待席のチケットは、紙ベースのものをハイブリットレスリング鹿児島代表の中里様のご協力いただき作成しました。

ご協力いただき本当にありがとうござました。

Instagram, Podcastの運営

大会開催へ日が迫っていたことから、Web上のサイトは作成せずにFacebookのページをホームページとし、Twitter, Instagramで大会情報を配信していこうということが決まりました。

また、Podcastでは、出場選手たちに一人一人インタビューをしていき、音声のみの配信を行なっていきました。

それがこちらです。

動画での配信が主流になりつつある昨今。
音声で、伝えていこうという試みでした。

Eruptionに参戦した経緯、試合への意気込み、あなたにとってキックボクシングとは?という質問を軸に、選手、さざなみさん、私の3人で収録していきました。

聞いてくださった方ありがとうございました。動画だけでなく、音声だけでも選手のキックボクシングの魅力を伝えられるような努力をしていきます。

Instagramにて、Podcastで話していたこと言葉とイメージ画像を組み合わせてデザインしていく予定でしたが、、、、、
そこまで手が回らず、Instagramでは、カード発表やその他大会に関するお知らせを配信しました。

また、今大会の合言葉を実行委員長のさざなみさんの口癖である「ヤッベェナァ」にしました。

この合言葉に合わせて、さざなみさんのまつわる「ヤッベェナァ」エピソードと大会に向けての応援メッセージをざなみさんの所属ジムのTARGETの選手たちが快く受けてくださりました。

↑ TARGET SHIBUYA代表の宮城大輝さんがくださったメッセージです。
他にも、神村さん、AKARI選手、臼井さん、宮崎選手、ACHIさん、羅王さんも、メッセージくださいました。

ご協力いただきありがとうございました。

パンフレット作成

計画当初作成予定ではなかった、パンフレットですが
実行委員会全員で「RISE 143」観戦した後に、家徳さんの提案で作成することになりました。

各選手の紹介と各試合の見所を書くだけにしました。
参考とさせていただいたのは、スポーツライターの布施鋼治さんが各試合の見所を書いている「RISE 143」のパンフレットです。

大会当日は、紙のパンフレットを来場者に配布いたしました。

実際に、配布したパンフレットがこちらです。

 

大会運営と進行

大会運営の進行スケジュールと台本作成、リハーサルなど、進行に関わることも行いました。
また、南九州メディカル本部のご協力の下、新型コロナ感染拡大を防止策の実行を行いました。

改めて実感したのは東京と鹿児島での新型コロナウイルスへの捉え方の温度差でした。

「もし今大会でクラスターが起こってしまったら、鹿児島では今後キックボクシングのイベントはできないんじゃないか。」

そのように、鹿児島在住の人には忠告されていました。

また、鹿児島県外の人と濃厚接触した医療従事者は、2週間の自宅隔離を要請されていたので、
全選手の抗原検査、検温、手指の消毒、マスクの着用、会場内の換気、席数を半減し客席間の空間の確保などを徹底して、防止策を行いました。

ご協力のおかげもあり、感染者は一人も出すことはありませんでした。

 

〜計量〜

 

インタージム・小桜会長のご協力の下、
インタージムで行われた前日計量では、全選手の抗原検査は全員陰性。

計量も全員リミット以下でパスと、大会開催への準備は整いました。

〜大会当日〜

 

リングの組み立て、会場設営を終え、12:30 にお客さんが入りました。

開場後すぐにアマチュア4試合が行われました。
アマチュアのマッチメイクや防具の発注などは、羅王さんにやっていただきました。
新型コロナ感染拡大の影響でアマチュア選手も出場機会が少ない中、試合をする場をつくれてよかったです。

瀬戸口勝也選手

アマチュアの試合後、入場式と瀬戸口勝也選手の挨拶が行われました。

ここで瀬戸口選手のことを書きます。
瀬戸口選手は、鹿児島の指宿市役所に務める公務員さんであり、新日本キックボクシング 協会のフェザー級のチャンピオンでもあります。

瀬戸口選手は、鹿児島在住にして新日本キックボクシング 協会のチャンピオンになることにこだわり続け、5度目のタイトルマッチ挑戦にして、チャンピオンに輝きました。

さざなみさんは、瀬戸口さんのことをサポートし続けていました。
鹿児島にキックボクシングの大会を立ち上げたいと思ったのも、瀬戸口選手に試合の場を提供したいという想いがきっかけだったそうです。

入場式

入場式では、全選手が入場し実行委員長のさざなみさんの挨拶から始まりました。

ちなみに、入場式で着用していたスーツは、さざなみさんと同じ所属ジムTARGETの後輩でアマチュア2試合目に出場した片岡選手から借りたものらしく、、、

「ちゃんと自分のスーツを準備してくださいよう。」と言いたいところでしたが、準備が大変だったのだなと思い、言えませんでした。。。

Yoko*さんと前畠さん

試合開始前に、

大会スポンサーにもなっていただいた鹿児島在住歌手・Yokoさんに「おはら節」を歌っていただきました。

ここで、Yokoさんと、今大会のリングアナを務めていただいたエフエム鹿児島のアナウンサー前畠さんのことを書きます。

Yokoさんは、第一試合に出場したセト丸選手のご友人で大会1ヶ月前にさざなみさんとスポヲタ社の桑名さんが鹿児島を訪ねた際に紹介していただきました。

大会後、Yokoさんにお話をお聞きすると。
「さざなみさんの熱意と鹿児島のため頑張っている人を応援したい。」という気持ちで今大会のスポンサーになっていただいたことを話してくれました。

大変恐縮ながら鹿児島に来るまで、私は存じていませんでしたが、
Yokoさんは、歌唱力に長けていて、鹿児島で認知度の高い歌手です。
滞在したホテルの近くにも何枚もポスターを見かけました。

ご協力本当にありがとうございました。

そして、今大会のリングアナを務めていただいたエフエム鹿児島のアナウンサー前畠さん。

私が、作成した”なけなし”の進行台本でも、しっかりとリングアナを務めていただきました。

リングアナは初めてなのにも関わらず、とても進行がうまく頭が上がりません。
大会当日、中断することなく大会を運営できたのも前畠さんのリングアナがあったからでした。

 

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前畠さんのインスタグラムより引用。

ありがとうございました。
次回行う際も、ぜひよろしくお願いいたします。

 

エキシビジョンマッチ

そして、エキシビジョンマッチから試合が開始されます。

当初、実行委員長のさざなみさんも試合に出場予定でしたが、大会準備に追われる忙しさから十分な練習時間が取れないこと理由に出場を断念しました。

しかし、エキシビジョンマッチでだったら参戦できるということでこの試合が決定しました。
対するは、羅王丸。

さざなみさんと同じTARGETで練習していたキックボクシングプロモーションRISEのヘビー級元トップ選手です。

実行委員会に参加していただいた際は、エキシビジョンへの参戦は決まっておりませんでしたが、
今大会の背景を理解してくださり、参戦を承諾してくださいました。

このエキシビジョンマッチ、フライ級とヘビー級という最軽量と最重量の戦いであり、公式戦では絶対に実現する試合ではありません。(羅王さんは、ローキックで倒すなど試合前から煽ってくれましたが、、、)

試合構成も3人で考え、何回かリハーサルをし、本番をむかえました。

1Rは、反則技などのルールの解説をしながら、ミドルキックの受け返しの見せ場を作る。
2Rは、ミドルキックを交わすなど、ダイナミックな動きを入れつつ体重差を見せつける攻防を展開し、最後に打ち合いで盛り上げる。

という試合構成を作り行われたのですが、、、、、

 

試合解説をするゲスト解説者が解説をできなくなってしまい、ルール解説ができずに1R目はグダグダになってしまいました。
2Rは、打ち合いの場面などで、客席から歓声が上がったのが唯一の救いでした。

試合動画がこちらです。

第一試合

そして、Eruption 2020 in 薩摩の第一試合が始まります。

両者は、アマチュアで一度対戦しておりその時は日高選手が判定勝利しています。
そのため、セト丸選手にとってはリベンジとなる試合でした。

この試合には、実行委員長の特別な想い入れがありました。
日高選手は、さざなみさんと同じ高校の同級生です。
高校生だった当時は、親交は深くなかったようですが、柔道部に所属していた日高さんはさざなみさんがキックボクシングをやっていたのを知っていたようです。

この試合にまつわるエピソードを一つ紹介します。

大会準備中に、一度窮地に追い込まれたことがありました。
試合出場者がなかなか決まらず実行委員会のメンバーも焦りを隠せない状況でした。

 

その時、私がさざなみさんに聞きました。

「大会開催どうしますか? 」

さざなみさんが私に言いました。

「プロの試合が一試合決まっている。鹿児島のキックボクシング関係者は開催を待ち望んでいるし、プロの試合がその試合だけになったとしても、大会を開催するよ。」

さざなみさんにとって、そのくらい想い入れのあった試合なんだ。
としみじみ感じました。

 

試合の内容は、ほぼ攻防なく1分も経たない時に日高選手の左ジャブにセト丸選手が右のストレートを合わせ、日高選手は左肘を抱え込むようにしてリングにうずくまりセト丸選手のTKO勝ちです。

第二試合

プロデビューから2連続KO負けが続いていた久保田選手と、総合格闘技家である 戸村選手の一戦でした。
総合格闘技は、打撃に加え、投げ技、組み技、寝技が組み込まれているルールで試合が行われます。

総合格闘家の戸村選手にとっては、打撃のみで戦うことになりました。
対する久保田選手は、さざなみさんと同じ所属ジムのTARGETの選手です。
プロデビューから3連続KO負けとなると、今後プロ選手として試合をしていくのがすごく難しくなります。

そんな久保田選手の地元は鹿児島の隣県・熊本県です。
コロナ禍にも関わらず、多くの応援が駆けつける久保田選手にとっては、これからプロの試合を行う上でも、地元から応援に駆け付けてくれる人たちのためにも、絶対に負けることが許されない試合となりました。

 

試合は、素早いステップから出入りする戸村選手に対して、久保田選手が序盤からローキックを効かせていき、1Rに久保田選手の猛攻でスタンディングダウンを奪います。2Rも、ローキックのダメージが残っており、3度のダウンを奪い久保田選手のKO勝ちとなりました。

第三試合

Eruption オフィシャルFacebookのメッセージにて出場を直訴し、出場が決まった野田選手。

野田選手のバックボーンは、ボクシングです。
アマチュアボクシングでも試合を積み、プロのリングでも6戦ほど試合をしたそうです。

対するは、鹿児島・薩摩ジムの若手選手、瀬戸口選手。
若手のホープとしてアマチュア時代から期待されていたとさざなみさんは話していました。
今回の試合は、約3年のブレイクが空いたそうですが、その期間も感じさせない試合内容でした。

試合は、開始早々の瀬戸口選手の左ハイキックで野田選手がダウンします。
立ちがった野田選手に、瀬戸口選手が立て続けに左ハイキックを蹴り込み瀬戸口選手がKO勝ちしました。
野田選手のパンチVS瀬戸口選手の蹴り。
瀬戸口選手が圧倒的な差を見せつけ勝利しました。

第四試合

Eruption 2020 in 薩摩の最後の試合。
鹿児島の次期エース候補の上野選手と福岡の若手ホープ臣龍選手の一戦。

12戦の戦績を誇る上野選手にとって、臣龍選手はわずか3戦。
それに加え、スーパーバンタム級で試合をしている上野選手に、バンタム級で試合をしている臣龍選手が、契約体重を合わせるという条件で行われ、上野選手にとって負けられない試合でした。

1Rのゴングが鳴らされると、上野選手は後ろ足重心の構え、臣龍選手はステップを小刻みに踏みます。
出入りの速い臣龍選手に上野選手は、得意の左ミドルを当てることができない場面がありましたが、距離が縮まるとお互いのパンチと膝が交差する場面が生まれます。

2Rも同じような展開が続きますが、距離を一気に詰めた臣龍選手の右フックが上野選手の顎を捉え、上野選手はガクッと腰を落とします。左膝で反撃しようとしますが、カウンターのパンチを合わされダウンします。
すぐに立ち上がりますが、足元がおぼつかない上野選手をみてレフリーは試合をストップし、臣龍選手のTKO勝ちとなりました。

プロ全4試合KO決着という結果に終わりました。

 

〜大会を終えて〜

 

大会を終えても、この時点ではまだまだ終わりではありません。
スポンサードしていただいた方、協力者へのお礼、クラウドファンディングにて支援していただい方へ返礼品を届けること、大会を無事終えたことのSNS配信、試合動画の配信、その他にもやらなくていけないことは、たくさんありました。

試合動画を撮影、編集してくださった渡邉映像事務所様は、大会オフィシャルTwitter に直接メッセージをくださり今回の依頼が実現しました。実行委員メンバーも試合動画の出来にはとても満足していました。ありがとうございました。

ほぼ全てをやり遂げ、1月7日に羅王さんを除いた実行委員会のメンバー4人で大会後の振り返りとしてPodcastを収録しています。是非こちらをお聞きください。

大会後、家徳さんが書いてくださった記事がこちらです。
収益を上げ続けなければ、プロモーションの存続はできないということ。
プロモーションとして、健全な経営をしキックボクシングの試合の場を提供すれば選手たちに試合の場を提供し続けられることができる。
そのことによって、選手を育成し続ける可能性が広がる。

家徳さんとの度重なる議論で深く考えました。
利益にこだわることの大切さ。これからの運営に生かしていきます。

今大会は、スポヲタ社のご協力がなければ絶対に実現しませんでした。
ビジネス面をサポートいただき、一緒に「Eruption 2020 in 薩摩」を開催できたこと心より感謝申し上げます。

振り返りをしているPodcastの中で、さざなみさんは、
「大会運営のための資金面管理すること」「新型コロナ感染防止策」
この2つが一番大変だった。と言っていましたが、

私が印象に残ったさざなみさんの言葉は、
「鹿児島のキックボクシングのレベルがまだまだなんだなと感じた。」
と言っていたところでした。

どうにかしなくてはいけない。という意志をその言葉から感じました。

〜後書き〜

大会に関わらせていただき、多くの人と出会い多くのことを学びました。
何より「実行しやり遂げることの大切さ。」これを痛いほど学びました。

今回の大会を通して、やらなければわからなかったことが見つかりました。

大会に関わる全ての皆様に重ねまして、御礼申し上げます。
今後の大会運営において、「いい大会だった。」と胸を張って言えるよう励んでいきます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。